海外安全対策情報 令和4年度第3四半期
令和5年2月7日
1 社会・治安情勢
ペルナンブコ州社会保護局の発表によると、ペルナンブコ州において2022年10月から12月の期間に発生した殺人件数は合計878件で、前年同期の871件から7件(0.8%)の増加、州都レシフェ市では136件が発生し、前年同期の142件から6件(4.2%)減少した。また強盗事件は、州全体では11,788件が発生し、前年同期の12,473件から685件(5.5%)の減少、州都レシフェ市では4,677件が発生し、前年同期の4,571件から106件(2.3%)増加した。コロナウイルスによる行動規制が本格化した2020年から2022年までの3年間の犯罪発生率は、僅かな増減を繰り返しながらもほぼ横ばいに推移しており、2022年の終盤にはコロナウイルス関連の規制が大幅に緩和された事もあり、人々の活動が活発になったが、データを見る限りではそれによって犯罪発生率が大きく影響を受けてはいない様にも見える。しかし、実際にはレシフェ市内については、当館所在地や館員住居などの至近でも犯罪が多く報告された。データ上の犯罪の発生状況に大きな変化がなかったとはいえ、その発生率は、日本はもちろん世界的にみても高い水準で発生している事に変わりは無く、更に当地の治安の悪さはブラジル国内においても上位に位置しているため、引き続き十分な注意が必要である。犯罪の傾向としては、拳銃を使用した事案が非常に多く、時には銃撃戦に発展し、住民や通行人が、流れ弾によって死傷するといったことも発生している。また、当地では容易に現金化が可能なスマートフォンを狙った強盗事件も多発しており、屋外での使用は非常に危険である。危険を感じた場合には、その場から早急に立ち去る、人気の少ない場所には近づかない等の注意が必要であり、万が一被害に遭っても抵抗せず犯人の要求に従うことで、受傷する危険を軽減することができる。観光などで訪れる際には事前に現地の危険情報を確認し、被害の多い地域や場所に関する知識を得ておくことが重要である。渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
2 レシフェ市における犯罪事例(10月~12月)
(1)10月18日午前0時過ぎ、レシフェ市ボアビアージェン地区ボアビアージェン通り(ボアビアージェン海岸に沿った大通り)併設のサイクリングロードの第2公園付近(当館から約700mの地点)で自転車に乗った男性(22歳)が小休止して携帯電話を操作していたところ、2人組の強盗に襲われて格闘となり、刃物で傷をおった。犯人らは被害者の携帯電話と自転車を奪って逃走、被害者は救急車で病院に運ばれて手当てを受けた。(2)11月21日午後8時15分頃、レシフェ市ボアビアージェン地区のエルネストデパウラサントス街とエリオファルコン通りの交差点で自動車泥棒と警官隊の撃ち合いが発生し、犯人の1人が病院に運ばれた。近隣住民は30発以上の銃声が聞こえた旨述べた。なお、流れ弾による住民の被害はなかった。
(3)12月8日午前11時頃、レシフェに寄港していたクルーズ船のドイツ人観光客2名(79歳と81歳男性)がレシフェ市サントアントニオ地区ダンタスバヘート通りにあるノッサセニョーラドカルモ教会付近の路上で写真を撮っていたところを2人組の強盗に襲われた。犯人らは被害者から携帯電話と眼鏡を奪って逃走した。その際、被害者らは鋭利な刃物で刺され、81歳の男性は転倒し歩道の縁石に頭を打ち付けて重傷、レシフェ市内の病院に運ばれたが14日に死亡した。79歳の男性は軽傷を負った。
(4)12月20日正午前、ペルナンブコ州警察学校を卒業したばかりの巡査は、妊娠2か月の妻を拳銃で7発撃って殺害した後、勤務先であるペルナンブコ州軍警第19軍警分団に赴いて、カメラモニター室で勤務中の同僚3名に向けて拳銃を発砲、軍警中尉が即死、背中を撃たれた女性の軍警少佐と頭部に弾丸による擦過傷を負った伍長はそれぞれレシフェ市内の病院へ運ばれたが、少佐は翌21日に入院先で死亡した。
(5)12月28日午後、年末の買い物客で賑わうレシフェ市ボアビスタ地区コンデデボアビスタ通りで、刑務所から出所したばかりの路上生活者の男性(30歳)が銃で殺害された。その際に歩行者2名が流れ弾を受け、22歳の女性が死亡、78歳の男性が市内の救急病院に入院した。さらに、現場付近の銀行支店のガラスが飛び散り、その破片で2名の歩行者が軽いけがをした。警察は複数による犯行とみて捜査、事件から数時間後に容疑者の1人として14歳の少年を捕らえた。
3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(10月~12月)
(1)セアラ州
ア 10月25日午前、フォルタレーザ市パランガーバ地区D街の歩道で、男性(25歳)が2台のオートバイに分乗した強盗に襲われた。同男性は携帯電話等を差し出したが、逃げようとしたため、犯人の1人に銃撃され死亡した。イ 11月9日夜、フォルタレーザ市アルデオータ地区のショッピングセンター内宝石店で、客を装った男女二人組の強盗が、店員を拳銃で脅して指輪やネックレス等を奪い逃走した。
ウ 12月24日夜、フォルタレーザ市カジャゼイラ地区の国道116号で、自転車に乗った男性(40歳)が乗用車に跳ね飛ばされて死亡した。目撃者によると被害者は強盗から追われ逃走中だった。
(2)リオ・グランデ・ド・ノルテ州
ア 10月30日午後8時30分頃、ナタル市カピンサント地区にあるスーパーマーケットで、店から出てきた買い物客の女性が、2人組の強盗に携帯電話を奪われた上、拳銃で2発撃たれた。犯人らはオートバイで逃走、被害者は市内の救急病院に運ばれた。イ 11月12日午後、ナタル大都市圏ニジアフロレスタ市マカイーバ地区(州都ナタルの南方37km)の交差点で、車で信号待ちをしていた男性(59歳)が、オートバイに乗った男に銃撃され死亡した。
ウ 12月30日午後7時頃、ナタル市ボンパストール地区の自動車修理工場に拳銃を所持した2人組の強盗が押し入った。付近の住民から通報を受け警官隊が到着、犯人らは工員3人を人質にして立て籠ったが、直後に警官隊が突入、犯人1人を射殺、もう1人は逃走した。人質にケガ等は無かった。
(3)パライーバ州
ア 10月17日午後7時30分頃、ジョアンペソア市ベッサ地区ニロペサーニャ街のガソリンスタンドで、自動車のタイヤに空気を入れていた男性が、2人組の拳銃を所持した強盗に自動車を強奪された。イ 11月24日午後、ジョアンペソア市マンガベイラ地区の銀行支店の前で、男性(35歳)が何者かに銃で殺害された。
ウ 12月2日午前、ジョアンペソア市アルチプラノ地区で、男性(66歳)が自家用車で自宅マンションビルの駐車場から出たところを車で乗り付けた2人組の強盗に襲われた。男性は命じられるまま車から降りたが、銃で胸を撃たれて死亡した。犯人らは被害者の車を奪って逃げた。6日、犯人の1人はジョアンペソア市インドゥストリア地区の潜伏先の民家で警官隊と撃ち合いになり死亡した。
(4)アラゴアス州
ア 10月6日午後、マセイオ市グラシリノラモス街の携帯電話販売店が、拳銃を所持した強盗の被害に遭った。犯人は店内あった携帯電話機等を奪い、乗ってきたオートバイで逃走した。イ 11月10日、マセイオ市ポッソ地区の歩道で女性(70歳)が、オートバイに乗ってきた2人組の強盗に突き飛ばされてハンドバックを奪われた。
ウ 12月15日夜、マセイオ市ベネジトベンテス地区の路上で、強盗に襲われた息子を助けようとした父親が頭部を拳銃で撃たれ殺害された。犯人らは何も盗らずに逃げた。
(5)セルジッペ州
ア 10月25日未明、アラカジュ市アタライア地区の商店が泥棒の被害にあった。犯人は2人組で店内の商品(煙草、酒類、精肉、粉ミルク等)を盗んだ。犯人らは10日前にも同店での同じ犯行により警察に逮捕されたばかりで保釈中の身であった。イ 11月30日午後、アラカジュ市内の高級マンションビルに2人組の強盗が侵入、13階のペントハウスに押し入って住人を縛り上げ、現金10万レアルと4000米ドルを奪って逃走した。
ウ 12月13日午後、アラカジュ市サントスドゥモン地区ベラビスタ街に路上駐車していた乗用車の運転席に頭部を銃で12発撃たれた男性の死体が発見された。乗用車のドアと窓は閉められており周辺には拳銃の薬莢が散らばっていた。
(6)バイア州
ア 10月27日午前5時30分頃、サルバドール市サンジョアンドカブリット地区でテレジーニャ/ピトゥーバ間を走る市内バスが、2人組の拳銃を所持した強盗に襲われ、乗客が携帯電話等の金品を奪われた。イ 11月15日午前、サルバドール市内、ガルコスタ通りピラジャ駅近くのバス停で、男性(41歳)が乗用車から降りてきた4人組の強盗に襲われた。同男性は抵抗したため拳銃で殺害された。
ウ 12月20日夜、サルバドール市ボッカドリオ地区オクタビオマンガベイラ通りのレストランで、店に入ろうとした女性(52歳)が2人組の男にハンドバッグを奪われそうになった。同女性は抵抗したため頭部を拳銃で撃たれ死亡した。
4 テロ爆弾事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。5 誘拐・脅迫事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。6 対日感情
対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。7 日本企業の安全に係わる諸問題
管轄内における当該諸問題は発生していない。8 邦人の被害事例
10月5日(水)23時頃、バイア州サルバドール市において、邦人が宿泊中のホテルから近くの薬局へ飲み物を買いに行く途中、後方から近づいてきた2人の賊(褐色の若い男、服装は長袖・長ズボン)にセカンドバックを奪われそうになり、声を上げて通行人に助けを求めようとしたが、賊の1人にナイフを突きつけられたため、パスポート等が入ったセカンドバックを差し出したところ、賊はそのまま現場から走り去った。邦人に怪我はなかった。以上