海外安全対策情報 令和2年度第1四半期

令和2年7月13日

1 社会・治安情勢  

 ペルナンブコ州社会防衛局の発表によると、ペルナンブコ州における2019年の凶悪犯罪による殺人件数は対前年比約17%の減少をみたものの、州全体で年間3,468件と、依然日本とは比較にならない高い数値(日本全体の約3.6倍)となっており、ブラジル国内においても当地の治安の悪さは常に上位に位置する。殺人発生率の高さは、主に麻薬取引とアルコール依存症に関連する犯罪が原因であるが、拳銃を所持している犯罪が多く、銃撃戦に発展する場合があり、住民・通行人が流れ弾に巻き込まれるケースも多い。運転マナーも非常に悪く、速度超過や信号無視、運転時の不注意等による交通事故が多発しており、各地で死傷者が出ている。また、通勤・帰宅ピーク時の交通渋滞はブラジル国内で最悪の状況となっており、異常な交通渋滞は不要なトラブルの元にもなっている。
 
 また、レシフェ市及び大都市圏では、携帯電話販売店や薬局店を狙った武装強盗、人通りの多い場所や観光スポット周辺、路線バス、メトロ(郊外電車)車内においても、一般強盗・短時間強盗が多発している。さらに現金輸送車が襲撃される事件も発生している。昼夜を問わず、銃器を使用した犯罪が頻発しており、強盗と警察との銃撃戦で一般市民が被害に遭うケースは少なくなく、十分な注意が必要である。なお、本年1月~5月の州全体の強盗件数は、前年同期と比較し、約32%減少しているが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛等の一時的かつ限定的な要因によるものと思われる。渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
 

2 レシフェ市(ペルナンブコ州含む)における犯罪事例(4月~6月)

(1)4月16日午後、レシフェ市コヘゴデジェニパポ地区エルンジナネグレイロスアラウジョ街の商店に押し入った拳銃強盗がレジの現金を強奪しようとしたところ、利用客の1人が強盗に飛び掛かり乱闘となり、犯人が拳銃を発砲、レジにいた店主の頭部に弾が当たった。他の利用客が犯人の落とした拳銃を拾い上げ、走り去ろうとした犯人に向けて撃ったが狙いを外した。犯人は逃げ切り、店主は死亡した。

(2)5月15日午前、レシフェ市ボアビアージェン地区の理髪店で強盗殺人が発生。現金等を奪われた後に店主(25歳男性)は後頭部を拳銃で撃たれ死亡した。

(3)5月23日午前6時30分頃、レシフェ市ジョアナベゼーハ地区のメトロ(郊外電車)の駅ホームで、電車待ちの女性が線路からホームに上がってきた男に拳銃のようなもので脅され、携帯電話とハンドバッグを奪われた。犯人は線路に飛び降り逃走した。

(4)6月15日夜、ジャボアトンドスグアララペス市ムリベカ街道を走行中の市内バスで拳銃強盗が発生。車掌(50歳男性)が犯人に拳銃で殺害された。
 

3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(4月~6月)

(1)セアラ州
ア 4月3日夜、フォルタレーザ市カザジェイロ地区で、配車アプリの車両が強盗にオートバイ2台で追跡され、配車アプリのドライバーが肩を拳銃で撃たれ、民家の門に激突した。同ドライバーは消防レスキュー隊に車から助け出され病院に搬送された。

イ 4月21日夜、フォルタレーザ市ファチマ地区の駐車場で、夫婦が車に乗り込もうとしたころ、強盗に襲われ、警察官の夫(45歳)が殺害された。犯人らは何も盗らずに逃走した。

ウ 5月5日午後、フォルタレーザ市ジャングルス地区の商店で、拳銃を所持した2人組の強盗が店主、従業員及び利用客から携帯電話、レジの現金及び配達用のオートバイ2台を奪い逃走した。

エ 5月24日午前8時頃、フォルタレーザ市カンベーバ地区の路上で、子供連れの拳銃強盗が、通りかかった男性の乗っていた自転車を奪った。

オ 6月2日午後、フォルタレーザ市パピク地区のスーパーマーケット内で、女性の利用客が背後から拳銃強盗に襲われ、首にかけていたネックレスをむしり取られた。犯人は逃走した。

カ 6月13日午前3時頃、フォルタレーザ市ジャングルス地区で、オートバイで帰宅途中の警察官(43歳軍警軍曹)が強盗に遭遇し、銃撃戦となり足を撃たれ草むらに逃げ込んだが、追ってきた犯人らに殺害された。

キ 6月29日午後9時頃、エウゼビオ市(フォルタレーザ市の西隣)ウルクネマ地区アナラウラ街で、数人の男が付近をパトロールしていた軍警の警察官2人に発砲、銃撃戦となった。警察官2人は足を撃たれたが、応援に駆け付けた警官隊により病院へ運ばれた。犯人の1人は死亡、他の犯人らは逃走した。
 
(2)リオグランデドノルテ州
ア 4月9日午後11時頃、ナタル市ポンタネグラ地区のモーテルで、利用客を装った男女6人組(男4人,女2人)の強盗が他の客室を襲い、数組の利用客から金品及び乗用車2台を奪って逃走した。

イ 4月25日午後4時30分頃、ナタル市ペトロポリス地区アフォンソペナ通りの雑貨店に、2人組の拳銃強盗が押し入り、利用客や従業員ら6人を人質に店内に立て籠もった。警官隊の説得により1時間30分後に人質を解放し逮捕された。

ウ 5月5日午前、ナタル市アレクリン地区にある病院の前で、人待ちをしていた乗用車が2人組の拳銃強盗に襲われ、運転席の女性が車外に引きずり出された。犯人らは乗用車を奪って逃走し、現場を通りかかったパトカーが追跡、同地区ジャグアラリ通りで他の車と接触事故を起こし停車した。犯人らは車から飛びだし逃げようとしたころを逮捕された。

エ 5月10日午前、ナタル市チロル地区プルデンテデモラエス通りのマンション入口で、70歳男性が運転する車を4人組の拳銃強盗が取り囲んだ。男性は車をバックさせ逃げようとしたが撃たれた。犯人らは男性を車から引きずり降ろし車を奪おうとしたところ、通りがかりの警察官に拳銃で制圧され逮捕された。被害者の男性は死亡した。

オ 6月2日午後7時頃、ナタル市チロル地区の高級マンションビルの1室に、2人組の拳銃強盗が押し入り、携帯電話3台、ノートパソコン1台、現金及び宝石類を奪い、マンション住人の車で逃走した。
 
(3)パライーバ州
ア 4月7日夜、ジョアンペソア市アルチプラノ地区を走行中の乗用車が、2人乗りのオートバイに追跡され、運転していた女性(32歳)がドア越しに拳銃で足を撃たれた。

イ 5月14日夜、ジョアンペソア市セントロ地区で、男性(27歳)が乗用車を発進させようとしたところ、2人組の強盗に襲われた。男性は急発進し逃げたが犯人の撃った弾で後頭部にかすり傷を負った。

ウ 5月27日夜、ジョアンペソア市ベッサ地区で、高層マンションの住人(28歳男性)が誰かの叫び声が聞こえたため、ベランダから下を見ると通行人が2名の強盗に襲われていた。同マンションの他の階の住人が強盗と叫んだため、強盗犯の1人がマンションめがけ発砲、弾が男性の胸に当たった。

エ 6月17日夜、ジョアンペソア市トレーゼデマイオ地区で、配車アプリの車両が利用客に扮した2人組の強盗に襲われた。運転手は同市ベッサ地区で解放されたが、犯人らは奪った車で逃走した。
 
(4)アラゴアス州
ア 5月5日夜、マセイオ市グルタデルーデス地区で、乗用車に乗ろうとした男性が2人組の強盗に襲われた。被害者は犯人らを乗せて自分の車を運転させられていたところ、目撃者の通報を受けた軍警のパトカーが同車を発見、犯人らは逮捕され、被害者は無事解放された。

イ 6月1日午後、マセイオ市ベネジトベンテス地区の路上で、男性(55歳)が3人組の拳銃強盗に襲われ、金品を渡すことを拒んだために胸部と腕を撃たれた。犯人らは何も盗らずに逃走した。
 
(5)セルジッペ州
 6月19日午後、アラカジュ市コロアドメイオ地区で、配車アプリの車両が盗難に遭い、同日夜、アルアンダ地区で軍警のパトカーが同車両を発見し犯人らを逮捕したところ、同車両のトランクに配車アプリの運転手が監禁されていた。警察官らは犯人らが強盗に使用した拳銃1丁、モデルガン1丁及び盗品(現金、携帯電話)を押収した。
 
(6)バイア州
ア 4月23日午後2時30分頃、サルバドール市ルイスアンセルモ地区の商店に、マスクをした数人の拳銃強盗が押し入ったところ、利用客の1人(39歳軍警巡査)が犯人らを取り押さえようとして射殺された。翌24日未明、犯人の1人が逮捕された。

イ 5月19日午後6時50分頃、サルバドール市ムスルンガ地区の商店で、店主と強盗が格闘となり、強盗は店主の妻にガラス瓶で頭を殴られ何も盗らずに逃走した。店主は格闘の最中に腕を撃たれた。

ウ 6月16日午前10時頃、バイア州北部、国道235号線のカーザノーバ市とレマンソ市の中間地点で、現金輸送車が襲撃された。犯人らは同輸送車の金庫を爆破したが中には何もなかった。同輸送車の乗員は避難していたため怪我等はなかった。

エ 6月20日午前7時頃、サルバドール市コスタアズール地区アルツールデアゼベードマシャド街で、非番の軍警巡査が2人組の拳銃強盗に襲われ、撃ち合いとなり左手を撃たれた。犯人らは逃走した。

オ 6月30日午前3時30分頃、サルバドール市ススアラーナ地区で、麻薬密売組織のボンデドマルッコ(BDM)とトロッパドAによる抗争事件が発生、同地区ジュセリア公園でそれぞれ約20人の構成員が軍用ライフルによる銃撃戦を繰り広げた。人的被害等は不明、付近に駐車していた15台以上の車が銃弾を浴びた。
 

4 テロ爆弾事件発生状況

 管轄内における当該事件の発生は確認されていない。
 

5 誘拐・脅迫事件発生状況

 管轄内における当該事件の発生は確認されていない。
 

6 対日感情

 対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。
 

7 日本企業の安全に係わる諸問題

 管轄内における当該諸問題は発生していない。
 

8 邦人の被害事例

 管轄内における被害の発生は確認されていない。

以上