海外安全対策情報 令和2年度第2四半期
令和2年10月5日
1 社会・治安情勢
ペルナンブコ州社会防衛局の発表によると、ペルナンブコ州における2019年の凶悪犯罪による殺人件数は対前年比約17%の減少をみたものの、州全体で年間3,469件(10万人あたり36.3件)と、依然日本とは比較にならない高い数値(10万人あたりの発生件数は日本の約48.4倍)となっており、ブラジル国内においても当地の治安の悪さは常に上位に位置する。殺人発生率の高さは、主に麻薬取引とアルコール依存症に関連する犯罪が原因であるが、拳銃を所持している犯罪が多く、銃撃戦に発展する場合があり、住民・通行人が流れ弾に巻き込まれるケースも多い。運転マナーも非常に悪く、速度超過や信号無視、運転時の不注意等による交通事故が多発しており、各地で死傷者が出ている。また、通勤・帰宅ピーク時の交通渋滞はブラジル国内で最悪の状況となっており、異常な交通渋滞は不要なトラブルの元にもなっている。また、レシフェ市及び大都市圏では、携帯電話販売店や薬局店を狙った武装強盗、人通りの多い場所や観光スポット周辺、路線バス、メトロ(郊外電車)車内においても、一般強盗・短時間強盗が多発している。さらに現金輸送車が襲撃される事件も発生している。昼夜を問わず、銃器を使用した犯罪が頻発しており、強盗と警察との銃撃戦で一般市民が被害に遭うケースは少なくなく、十分な注意が必要である。
本年1月~8月の州全体の強盗件数は、前年同期と比較し、約34.5%減少しているが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛等の一時的かつ限定的な要因によるものと思われる。なお、殺人件数については約12%増加している。
渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
2 レシフェ市(ペルナンブコ州含む)における犯罪事例(7月~9月)
(1)7月14日午前8時30分頃、ジャボアトンドスガララペス市(州都レシフェの南隣)の通勤電車内で、フロリアノ駅から乗車した数人の男が、乗客を拳銃で脅し、携帯電話及び金品を奪った後、エンジェーニョベーリョ駅のホームから線路に飛び降り逃走した。(2)8月18日午後10時頃、オリンダ市(州都レシフェの北隣)で、同市副市長の短時間誘拐事件が発生した。3人組の拳銃強盗に拉致され、カーボ市に所在する農道まで連れて行かれたが、キャッシュカード等の暗証番号を伝えた後、解放された。
(3)9月5日午後6時30分頃、レシフェ市ボアビアージェン地区のバールで、非番の軍警察少佐と州立刑務所の刑務官が口論となり、銃撃戦に発展した。何の関係性もない常連客5名が被弾し、内2名が死亡した。
(4)9月16日午後、レシフェ市カシャンガ地区のミネラルウオーター販売店に、3人組の拳銃強盗が押し入り、売上金を強奪した後、利用客の男性(28歳)を拳銃で殺害した。
3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(7月~9月)
(1)セアラ州ア 7月10日夜、フォルタレーザ市パドレアンドラーデ地区エウクリデスデクーニャ街で、オートバイに乗った2人組の強盗が通行人を襲ったが、拳銃で反撃され、強盗の1人が撃たれ転落し死亡、もう1人はオートバイで逃走した。なお、死亡した強盗は刑務所を仮釈放中の身であった。
イ 8月2日午後、フォルタレーザ市ジョゼワルテル地区の商店に、拳銃強盗が押し入り、店の売上金と従業員や利用客から携帯電話を奪い、被害者らを店内のトイレに閉じ込め逃走した。
ウ 8月20日午後10時頃、フォルタレーザ市プラルトアイルトンセナ地区イパウミリン街で、敵対する犯罪組織のメンバーによる激しい銃撃戦が発生した。幼児1人を含む住民5人が流れ弾に当たり、病院へ運ばれた。
エ 9月26日夜、フォルタレーザ市エジソンケイロス地区ロベルトシルバ街で、男性が商店から買い物を終え、出てきたところを、何者かに拳銃で殺害された。
(2)リオグランデドノルテ州
ア 7月23日夜、マカイバ市(州都ナタルの西隣)の郊外で、2人組の拳銃強盗が民家を襲い、男性住人(43歳)が抵抗したため、拳銃で5発撃たれ死亡した。犯人らはオートバイと乗用車を奪い逃走した。
イ 8月19日午後、マカイバ市(州都ナタルの西隣)ビラー地区にある歯科技工士の仕事場に拳銃強盗が押し入ったところ、歯科技工士が拳銃に驚き手を挙げたため、逆に犯人が驚き発砲、歯科技工士は頭を撃たれ死亡した。犯人は何も盗らずに逃走した。
(3)パライーバ州
ア 7月14日午前、ジョアンペソア市ランゲル地区の路上で、拳銃強盗が私服警察官とは知らずに金品を奪おうとしたところ、腹部と腕を撃たれ逮捕された後、病院に運ばれた。
イ 8月31日午後、ジョアンペソア市マンガベイラ地区で、ガソリンスタンド店長が銀行の前で、預金のために持参した現金3万レアルと携帯電話をオートバイに乗った2人組の拳銃強盗に奪われた。
ウ 9月8日午後、ジョアンペソア市ブリザマール地区で、乗用車を運転中の女性が携帯電話に応答するため、民家の前に停車したところ、1台の車に横付けされ、車内から出てきた男に携帯電話を奪われそうになったため、車をバックさせ逃げようとしたが、運転を誤り民家のブロック塀に衝突した。男は女性の携帯電話を奪い逃走した。
(4)アラゴアス州
ア 8月9日午後9時頃、マセイオ市バホドゥーロ地区ジュカサンパイオ通りで、2人組の拳銃強盗が若い男女から携帯電話を奪い、女性を付近の空き地に連れ込み強姦した。
イ 9月16日夜、マセイオ市サンタルシア地区イルダフェリックス通りの住宅に、黒色の乗用車で乗り付けた覆面の2人組が、男性住人(24歳)を拳銃で殺害した。被害者は頭部、腕及び太もも等8箇所を撃たれていた。
(5)セルジッペ州
ア 7月6日午後、アラカジュ市マラニョン通りで、非番の警察官2人が強盗事件を目撃し阻止しようとしたところ、犯人らに発砲されたため応戦し、犯人4人の内1人を逮捕した。残り3人は逃走した。
イ 9月4日午後、アラカジュ市メイナルド通りにある商店に、散弾銃を持った強盗が押し入ったが、利用客として店内にいた非番の警察官に足を撃たれ逮捕された。犯人は銀行強盗等の罪により懲役38年で服役していたが、1年前から保釈の身であった。
(6)バイア州
ア 7月12日午後、サルバドール市トロボギ地区の商店に、2人組の拳銃強盗が押し入ったが、利用客として店内にいた非番の警察官と撃ち合いになり、犯人の1人が死亡、もう1人も撃たれたが逃走した。なお、警察官と女性客1人が犯人に撃たれ病院に運ばれたが、後日、警察官は入院先で死亡した。
イ 8月20日午前、サルバドール市の以下の路線で、市内バス3台が強盗の被害に遭った。犯人らは乗客から携帯電話、現金、リュック及びカバン等を強奪したが、ケガ人等はいなかった。
(ア)ボッカダマッタ地区とピツーバ地区を結ぶ路線。
(イ)パウダリマ地区とノルデステ地区を結ぶ路線。
(ウ)ミランダデペリペリ地区とボッカドリオ地区を結ぶ路線。
ウ 8月20日夜、サルバドール市グラッサ地区のフィットネスクラブに強盗が押し入り、職員及び利用客から金品を奪った。
エ 9月13日夜、サルバール市ルイスビアナフィーリョ通りのメトロ線ムスルンガ駅近くで、健康保険会社の救急車の乗員が重病人を搬送しようとしていたところ、2人組の拳銃強盗に襲われ、乗員及び一緒にいた重病人の家族が携帯電及び財布を奪われた。
4 テロ爆弾事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。5 誘拐・脅迫事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。6 対日感情
対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。7 日本企業の安全に係わる諸問題
管轄内における当該諸問題は発生していない。8 邦人の被害事例
管轄内における被害の発生は確認されていない。以上