海外安全対策情報 令和2年度第4四半期

令和3年4月9日

1 社会・治安情勢  

 ペルナンブコ州社会防衛局の発表によると、ペルナンブコ州における2020年の凶悪犯罪による殺人件数は、対前年比約8.3%増加し、州全体で年間3,757件(10万人あたり39.1件)と、依然日本とは比較にならない高い数値(2020年においては10万人あたりの発生件数は日本の約52.9倍)となっており、ブラジル国内においても当地の治安の悪さは常に上位に位置する。殺人発生率の高さは、主に麻薬取引とアルコール依存症に関連する犯罪が原因であるが、拳銃を所持している犯罪が多く、銃撃戦に発展する場合があり、住民・通行人が流れ弾に巻き込まれるケースも多い。運転マナーも非常に悪く、速度超過や信号無視、運転時の不注意等による交通事故が多発しており、各地で死傷者が出ている。また、通勤・帰宅ピーク時の交通渋滞はブラジル国内で最悪の状況となっており、異常な交通渋滞は不要なトラブルの元にもなっている。
 
 また、レシフェ市及び大都市圏では、携帯電話販売店や薬局店を狙った武装強盗、人通りの多い場所や観光スポット周辺、路線バス、メトロ(郊外電車)車内においても、一般強盗・短時間強盗が多発している。さらに現金輸送車が襲撃される事件も発生している。昼夜を問わず、銃器を使用した犯罪が頻発しており、強盗と警察との銃撃戦で一般市民が被害に遭うケースは少なくなく、十分な注意が必要である。
 
 2020年における州全体の強盗件数は、52,941件発生しており、前年と比較し、約33.5%減少しているが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛等の要因も背景にあると思われる。なお、強盗の発生件数は減少しているが、先述の通り、殺人件数は増加しており、体感治安は一向に改善されていない。
 渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
 

2 レシフェ市における犯罪事例(1月~3月)


(1)1月21日午後、レシフェ市サンマルチン地区の商店が、2人組の拳銃強盗に襲われてレジの現金等を奪われた。
 
(2)2月27日午前10時頃30分頃、レシフェ市マダレナ地区カシャンガー通りのサンタンデール銀行支店が、3人組の強盗に襲われて現金と警備員の拳銃が奪われた。犯人らは車椅子の利用客専用のガラス扉を割って侵入した。
 
(3)3月10日午後5時45分頃、レシフェ市タマリネイラ地区の住宅街で、女性が知人宅前で乗用車から降りたところを2人組の拳銃強盗に襲われた。犯人らは被害者の車を奪って逃走した。
 

3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(1月~3月)


(1)セアラ州

ア 1月27日夜、フォルタレーザ市セントロ地区で、道路の曲がり角でオートバイに跨って人待ちしていた男性(40歳)が、2人組の拳銃強盗に襲われて携帯電話を奪われそうになった。男性は隠し持っていた拳銃で犯人らに向けて発砲、2人組が拳銃で反撃し、通行人(59歳、男性)が流れ弾に当たりオートバイの男性も撃たれ、2人とも病院へ運ばれた。犯人らは逃走した(内1人は撃たれてケガをした模様)。
 
イ 2月13日正午、フォルタレーザ市ジオニジオトーレス地区アントニオサーレス通りの路肩に停車中の乗用車を、5人組の強盗が襲い搭乗者から金品を奪って逃走した。
 
ウ 3月9日夜、フォルタレーザ市モンテカステロ地区で、乗用車で帰宅した男性がガレージの扉を開いたところ、3台のオートバイに分乗した5人組の拳銃強盗に金品及び乗用車を奪われた。
 
エ 3月22日夜、フォルタレーザ市ペドラス地区で乗客に扮してウーバーに乗り込んで来た男2人が、運転手を拳銃で脅して近くのATMで現金を引き出させようとしたが、残高がなかったため車を奪って逃走した。不要不急の外出が禁止されているため、市内要所に設置している治安当局の監視カメラが直ぐに発見、盗難車は軍警のパトカーに追跡され、メセッジャーナ地区で中央分離帯に乗り上げて停まった。犯人は現行犯逮捕された。
 
(2)リオ・グランデ・ド・ノルテ州

ア 1月8日夜、ナタル市ジャルジンプログレッソ地区サンパイオコヘイア街で、通行人を襲った男女2人組の拳銃強盗が、乗用車で逃走しようとしたところ、何者かが車に向かって発砲、運転席の男が撃たれ、共犯者(女)は住民らに取り押さえられた。なお、一部の住民は、警察が来る前に車内を物色して、犯行に使われた拳銃2丁と、犯人らの所持品等を奪って逃げた。
 
イ 2月2日午前1時15分、ナタル市ラゴアセッカ地区ベルナルドビエイラ通りで、巡回中の軍警パトカーは、数分前に通報があった盗難車を発見し追跡を開始。盗難車がパトカーに対し銃を発砲したため銃撃戦となり、さらにそこへ犯人の仲間とみられる乗用車とオートバイが、パトカーに追い付いて進路妨害を試みたが失敗し逃走、犯人グループ中4人が撃たれて盗難車は路上に停車、犯人らは病院に運ばれたが1人(男25歳)が死亡し、他の3人(男21歳及び18歳、女21歳)は入院中。
 
ウ 3月16日午後8時頃、ナタル市ノルデステ地区の住宅街で、男性(47歳)が自宅付近で、オートバイで乗り付けた2人組の強盗に襲われそうになったので、走って自宅に逃げ込もうとしたところ、頭部を拳銃で撃たれて死亡した。
 
(3)パライーバ州

 2月16日夜、ジョアンペソア市ガイゼル地区で、男性(61歳)が親戚の家の前に自家用車を駐車したところを2人組の拳銃強盗が襲った。男性は抵抗したため胸部を撃たれて即死、犯人らは被害者の携帯電話と自家用車を奪って逃走した。
 
(4)アラゴアス州

ア 2月9日午前8時頃、マセイオ市ファロル地区トマスエスピンドラ通りのブラジル銀行支店の屋外駐車場で、銃を持った数人の男らが警備員3人から拳銃3丁を強奪した。
 
イ 3月16日夜、マセイオ市サンタルジア地区の商店の入り口で、アラゴアス州軍警の軍曹が2人組の拳銃強盗に左鎖骨付近を拳銃で撃たれた。被害者は、市内の総合病院に運ばれた。なお、犯人らは被害者が携帯していた拳銃を奪って逃走した。
 
(5)セルジッペ州

ア 1月29日午後、ウーバーの運転手から現金を奪った3人組の強盗犯が、アラカジュ市ラゴアダアパレシーダ地区で、追跡してきた警官隊に対し発砲して撃ち合いとなり、犯人の1人が死亡、2人が逮捕された。
 
イ 3月15日午後、アラカジュ市ジャルジンス地区オビエドテイシェイラ通りで、男性が強盗に拳銃で脅されて携帯電話を奪われた。犯人は逃げる際に被害者の足を撃った。通行人が救急車を呼び、被害者は病院に運ばれた。
 
(6)バイア州

ア 1月17日夜、サルバドール市ラゴアドタンキ地区サンマルチン通りを走行中の市内バスの中で強盗事件が発生、拳銃を持った犯人が乗客を脅して金品を差し出させ、抵抗した女性を殴った瞬間に、乗客の1人が犯人を拳銃で撃った。犯人は死亡、撃った乗客の行方は不明。
 
イ 1月26日午後2時30分頃、サルバドール市ペロリーニョ地区(同市有数の観光スポット)の貴金属店に、男女2人組の拳銃強盗が押し入った。付近を通りかかった軍警パトロール隊が、店内の不審な様子に気づき、犯人らを逮捕した。女性店長が犯人らの暴行を受けて右腕と頭部を負傷した。
 
ウ 2月17日午前6時40分頃、サルバドール市ブロッタス地区ボノコ通りで、市内バスに乗客のフリをして乗り込んでいた2人組の強盗が、拳銃で乗客を脅して携帯電話等を奪い、強引にバスを停車させて逃走した。
 
エ 3月3日7時30分頃、サルバドール市バレリア地区ダマトリス街のスーパーマーケットに拳銃強盗が押し入ったところ、店内にいた客の1人が犯人に向かって拳銃を発砲、犯人が応戦して撃ち合いとなった。その結果レジ係の店員が流れ弾に当たって死亡した。強盗犯及び発砲した客は逃走した。
 
オ 3月9日夜、サルバドール市ペリペリ地区で、4人組の拳銃強盗がマイクロバスを襲い、乗客の1人が強盗らに発砲、犯人らと撃ち合いになり、犯人の1人と乗客1人が死亡、発砲した乗客も撃たれて病院に運ばれた。3人の強盗犯は逃走した。
 
カ 3月12日午後、サルバドール市ペルナンブエ地区パラレラ通りを走行中の市内バスの中で強盗未遂事件が発生、犯人は逃走する前に乗客らに向かって発砲、3人が撃たれて病院に運ばれた。
 

4 テロ爆弾事件発生状況

 管轄内における当該事件の発生は確認されていない。
 

5 誘拐・脅迫事件発生状況

 管轄内における当該事件の発生は確認されていない。
 

6 対日感情

 対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。
 

7 日本企業の安全に係わる諸問題

 管轄内における当該諸問題は発生していない。
 

8 邦人の被害事例

 管轄内における被害の発生は確認されていない。
 

以上