海外安全対策情報 令和3年度第1四半期

令和3年7月8日

1 社会・治安情勢  

 ペルナンブコ州社会保護局の発表によると、ペルナンブコ州2021年1月から5月、昨年同期と比較して、殺人事件は14.3%の減少、強盗事件は13.74%の減少となった。特に、殺人による死亡者数は、本年1月から5月まで、州全域で毎月減少し、合計1429人となり、同時期としては過去8年で最小となった。これは、ペルナンブコ州政府の14年にわたる一貫した治安改善政策(Pacto pela vida)が功を奏したといえるが、ブラジル国内においても当地の治安の悪さは常に上位に位置する(なお、2020年においては10万人あたりの発生件数は日本の約52.9倍)。殺人発生率の高さは、主に麻薬取引とアルコール依存症に関連する犯罪が原因であるが、拳銃を所持している犯罪が多く、銃撃戦に発展する場合があり、住民や通行人が流れ弾に巻き込まれるケースも多い。また、運転マナーも非常に悪く、速度超過や信号無視、運転時の不注意等による交通事故が多発しており、各地で死傷者が出ている。さらに、通勤・帰宅ピーク時の交通渋滞はブラジル国内でも最悪の部類に入り、異常な交通渋滞は不要なトラブルの元にもなっている。
 
 また、レシフェ市及び大都市圏では、携帯電話販売店や薬局店を狙った武装強盗、人通りの多い場所や観光スポット周辺、路線バス、メトロ(郊外電車)車内においても、一般強盗・短時間強盗が多発している。昼夜を問わず、銃器を使用した犯罪が頻発しており、強盗と警察との銃撃戦で一般市民が被害に遭うケースは少なくなく、十分な注意が必要である。
 
 渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
 

2 レシフェ市における犯罪事例(4月~6月)

(1)4月9日午前、レシフェ大都市圏パウリスタ市ミルエイラ地区ジョアンパウロセグンド通り(州都レシフェ市北方13km)のパン店を、拳銃を持った2人組の強盗が襲い、現金500レアル及びウィスキー等の商品を強奪した。
 
(2)5月17日午後6時頃、レシフェ大都市圏カーボデサントアゴスチーニョ市ガイブー地区(州都レシフェ南方38km)で、乗客2人を乗せたタクシードライバー(39歳)が苦しんでいたところ、通りかかった軍警のパトカーが発見、病院へ搬送されたがその途中で死亡した。被害者は銃で顔面を撃たれていた。
 
(3)6月6日午前8時12分頃、レシフェ市ボアビスタ地区ビスコンジデゴイアナ街で、オートバイに乗った男が、通行人を拳銃で脅して携帯電話及び金品を奪い取った。
 
(4)6月7日夜、レシフェ大都市圏ジャボアタンドスグアララペス市ムリベッカ地区(州都レシフェの南隣)を走行中の市内バスで、強盗事件が発生、強盗と乗客の1人(男性、20歳、陸軍兵士)が格闘となり、強盗は拳銃を乱射、1発が同乗客の顔面に当り、後日、搬送先の病院で死亡。また、頭部に流れ弾を受けた別の乗客(男性、41歳)が即死した。
 

3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(4月~6月)

(1)バイア州
ア 4月13日午前、州都サルバドール市リオベルメーリョ地区の商店で、2人組の強盗が、店主及び買物客から金品を奪い、乗用車で逃走した。軍警のパトカーに追跡され、アマラリーナ地区でパトカーに追いつかれた犯人は、警官らと撃ち合いとなり、1人が死亡、もう1人は現行犯で逮捕された。
 
イ 5月4日早朝、州都サルバドール市サンクリストバン地区を走行中の市内バスで、2人組の男が乗客を拳銃で脅して携帯電話及び金品を奪った後、運転手に命じてバスを止めた上で、降りる際に車内めがけて拳銃を乱射した。乗客の1人に弾が当たり病院に運ばれた。
 
ウ 5月6日午前、州都サルバドール市ナザレ地区を走行中の市内バスで、拳銃を持った2人組の強盗が、乗客から携帯電話等を奪った後、運転手に命じてバスを止めて降りようとしたところ、乗客の1人が強盗に向かって拳銃を発砲、強盗らは逃走したが、強盗の1人は被弾した由。
 
エ 州都サルバドール市では、警察に被害届が出ているだけでも、5月11日の1日の間に9件のバス強盗が発生した。
 
オ 5月18日午前、州都サルバドール市カラバール地区を走行中の市内バスで、拳銃を持った男が、乗客20人から携帯電話を奪った。
 
カ 6月8日午前、州都サルバドール市アキダバン地区、ラデイラデカカウ地区及びサンカエタノ地区の3か所で、市内バスで強盗事件が発生した。
 
キ 6月17日夜、州都サルバドール市ローマ地区カミニョデアレイア通りのパン店で、2人組の強盗が、レジの店員を拳銃で脅して売上金及び携帯電話を奪った。
 
(2)セルジッペ州
4月30日夜、州都アラカジュ市ブジオ地区で、2人組の強盗が商店を襲った。しかし、2人組の強盗は犯行直後に何者かにより射殺された。
 
(3)アラゴアス州
ア 4月25日夜、州都マセイオ市クリマボン地区で、清掃会社の作業服を着た男が、商店に向かって拳銃を発砲。軍警のパトカーに発見された男は、民家の塀を飛び越えて空き家に隠れたが、警官に見つかり、撃たれて病院に運ばれる途中で死亡した。
 
イ 5月7日夜、州都マセイオ市シダジウニベルシタリア地区で、改造拳銃を使って強盗をはたらいた男2人が、住民に捕まって集団暴行を受けて大けがをした。
 
(4)パライーバ州
ア 4月26日夜、カンピナグランジ市(州都ジョアンペソアの西方120km、パライーバ州第2の都市)マルビナス地区で、軽食店が強盗に襲われ、店主が抵抗したため拳銃で殺害された。犯人は店外で待機していたオートバイの後部座席に乗って逃走した。
 
イ 5月7日正午前、州都ジョアンペソア市マンガベイラ地区で、自動車教習所の教官が、教習車を停車して休憩していたところ、強盗に拳銃で襲われて携帯電話と現金150レアルを奪われた。被害者によれば、犯人は刑務所を出たばかりで、金に困っていると語った由。
 
ウ 6月16日午後4時頃、州都ジョアンペソア市シダジウニベルシタリア地区で、パライーバ連邦大学正門に配置されていた民間警備会社の警備員が、オートバイに乗って来た2人組の強盗に拳銃で襲われた。警備員は発砲されたため拳銃で反撃したが、拳銃を落としてしまった。犯人らは警備員が落とした拳銃を拾い逃走した。
 
(5)リオ・グランデ・ド・ノルテ州
ア 4月15日午後7時30分、州都ナタル市シダジサテリチ地区ダスノゲイラ街で、男性(28歳)が拳銃を持った強盗に追いかけられた。男性は民家に逃げ込んだが、追ってきた強盗に足を撃たれた。その後犯人は何も盗らずに逃走した。
 
イ 5月11日午前6時20分頃、ナタル大都市圏ニジアフロレスタ市内(州都ナタル西方40km)を走行中の市内バスで、ボアシカ貧民街付近の停留所から乗り込んだ2人組の強盗が、運転手を拳銃で脅しバスを停車させたうえで、乗客から金品を奪って逃走した。
 
ウ 5月22日夜、州都ナタル市カピトンモーゴウベイア通りのバス停留所で、ブラジル陸軍の兵士(男性、19歳)がバスを待っていたところ、乗用車がとまり、中から拳銃を手にした男が出てきた。被害者は強盗だと思い、逃げようとしたところを撃たれた。犯人は何も盗らずに乗ってきた車で逃げた。
 
エ 6月4日午前10時30分頃、州都ナタル市ポテンジ地区ジョゼメデリロスフィリョ通りの歯科医院に、拳銃を持った強盗が押し入った。強盗は患者らから携帯電話・金品を奪って逃げようとしたところ、トイレに隠れていた男性が、犯人に向けて拳銃を発砲。屋外でも銃撃戦を続けた。犯人は逃走し、付近のマンションのガラスドア及び駐車場の自家用車のサイドガラスが破損した。
 
(6)セアラ州
ア 4月12日夜、州都フォルタレーザ市ジャルジンダスオリベイラ地区の商店で、拳銃を持った2人の強盗が男性客の1人を襲ったところ、男性客も拳銃を持っていたため撃ち合いとなった。男性客は撃たれて病院に運ばれた。強盗の1人は撃たれて負傷したが逃走した。
 
イ 5月13日夜、フォルタレーザ大都市圏エウゼビオ市(州都フォルタレーザの南隣)で、女性が狭い道で自動車を運転していたところ、停車中の車が有ったため、徐行して通り過ぎようとした際、銃を持った2人の男に襲われた。男らは女性を車のトランクに押し込め、一時間近く車を乗り回した末に、同市郊外に車を乗り捨てた。その後、女性は携帯電話で夫に連絡し、警察に保護された。
 
エ 6月16日午後、州都フォルタレーザ市エンヒッキジョルジ地区クリチバ街の路上で、自家用車から降りた男性(警官)が、4人組の強盗に拳銃で脅されて財布、携帯電話及び車の鍵を奪われた。犯人は、男性の車に乗り込んだ際に、同人が警官であったということに気づいたとみられ、同人に向かって発砲。同人は拳銃で反撃、運転席にいた犯人が死亡、他の3人は逃走した
 

4 テロ爆弾事件発生状況

 管轄内における当該事件の発生は確認されていない。
 

5 誘拐・脅迫事件発生状況

 管轄内における当該事件の発生は確認されていない。
 

6 対日感情

 対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。
 

7 日本企業の安全に係わる諸問題

 管轄内における当該諸問題は発生していない。
 

8 邦人の被害事例

 管轄内における被害の発生は確認されていない。
 

以上