海外安全対策情報 令和2年度第3四半期
令和3年1月18日
1 社会・治安情勢
ペルナンブコ州社会防衛局の発表によると、ペルナンブコ州における2020年の凶悪犯罪による殺人件数は、対前年比約8.4%増加し、州全体で年間3,759件(10万人あたり39.1件)と、依然日本とは比較にならない高い数値(2019年においては10万人あたりの発生件数は日本の約48.4倍)となっており、ブラジル国内においても当地の治安の悪さは常に上位に位置する。殺人発生率の高さは、主に麻薬取引とアルコール依存症に関連する犯罪が原因であるが、拳銃を所持している犯罪が多く、銃撃戦に発展する場合があり、住民・通行人が流れ弾に巻き込まれるケースも多い。運転マナーも非常に悪く、速度超過や信号無視、運転時の不注意等による交通事故が多発しており、各地で死傷者が出ている。また、通勤・帰宅ピーク時の交通渋滞はブラジル国内で最悪の状況となっており、異常な交通渋滞は不要なトラブルの元にもなっている。また、レシフェ市及び大都市圏では、携帯電話販売店や薬局店を狙った武装強盗、人通りの多い場所や観光スポット周辺、路線バス、メトロ(郊外電車)車内においても、一般強盗・短時間強盗が多発している。さらに現金輸送車が襲撃される事件も発生している。昼夜を問わず、銃器を使用した犯罪が頻発しており、強盗と警察との銃撃戦で一般市民が被害に遭うケースは少なくなく、十分な注意が必要である。
2020年における州全体の強盗件数は、52,714件発生しており、前年と比較し、約33.5%減少しているが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛等の一時的かつ限定的な要因によるものと思われる。なお、発生件数自体は減少しているが、先述の通り、殺人件数は増加しており、体感治安は一向に改善されていない。
渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
2 レシフェ市(ペルナンブコ州含む)における犯罪事例(10月~12月)
(1)10月7日午後11時40分頃、レシフェ市ジョアナベゼーハ地区で、2人組の強盗が自動車をバリケードに仕立て陸橋を封鎖し、通行出来ず立ち往生した車を襲撃した。事件現場はペルナンブコ州上級裁判所の至近であった。(2)10月24日夜、レシフェ市グラッサ地区フトゥーロ街のマンション駐車場入り口で、女性が拳銃強盗に襲われ車を奪われた。
(3)11月5日午後6時30分頃、レシフェ市イプチンガ地区に所在する大型業務スーパーの現金輸送車専用の駐車スペースで、5人組の強盗がプレゼルビ警備会社の現金輸送車に爆発物を仕掛け金庫を開けようとしたが、警備員3名と銃撃戦になり、犯人らは乗ってきた車に火を放ち、他の車で逃走した。爆発物は軍警察が撤去したが、この銃撃戦で警備員3名は負傷し病院に搬送された。
(4)12月15日早朝、レシフェ市ガビラーバ地区で、バスの運転手(男性、55歳)が勤務先であるバス会社の車庫にオートバイで到着したところ、2人組の拳銃強盗に襲われ、逃げようとしたところ、背中を撃たれ殺害された。犯人らは被害者のオートバイを奪って逃走した。
3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(10月~12月)
(1)セアラ州ア 10月14日午前7時頃、フォルタレーザ市アウランヌネス地区ハイムンドヒベイロ街で、オートバイに乗った2人組の拳銃強盗が、通行人3名を拳銃で脅し、携帯電話等の金品を奪って逃走した。
イ 10月18日午後11時40分頃、フォルタレーザ市パサレ地区で、2人組の拳銃強盗がピザレストランからテレビ2台を奪って逃走した。
ウ 11月14日未明、フォルタレーザ市メネゼス地区のバス停で、帰宅途中の男性1名及び女性2名が、刃物を持った2人組の強盗に襲われ金品を奪われた。被害者の男性は犯人らに体を2ヵ所刺され、救急車で病院に搬送された。
エ 12月27日午後、フォルタレーザ市アボリソン通りで、通行人を襲った男女2人組の強盗犯が、追跡してきた2人の男に拳銃で撃たれた。男らの行方は不明、強盗犯らは搬送先の病院で逮捕された。
(2)リオグランデドノルテ州
ア 10月9日夜、ナタル市アレクリン地区で、2人組の拳銃強盗が乗用車を強奪、被害者が警察に通報したため、犯人らは奪った車で逃走し、同市イガポ地区エンヒッキジアス街で運転を誤り電柱に衝突、車を捨て同市イザベルブリット地区トマスランジン通りを逃走中に軍警察のパトロール隊に出くわし銃撃戦となり、犯人の1人が死亡、もう1人は逮捕された。
イ 10月29日夜、ナタル市アントニオバジリオ通りに所在する建築用資材店に散弾銃を持った強盗が押し入り、店主と格闘中に銃が暴発し、何らかの破片が店主の頭部に当たったが掠り傷で済んだ。犯人は銃声を聞きつけてきた近隣住人らのリンチに遭い負傷し病院へ搬送された。
ウ 11月29日午後、自家用車を運転していた非番の軍警察軍曹が、ナタル市ジョゼマルケス街の横断歩道で停車したところ、2人組の拳銃強盗に襲われた。咄嗟に自身の拳銃を抜こうとしたが犯人に撃たれ即死、同乗していた父親も腕を撃たれた。数時間後に犯人らは同市キンタス地区で逮捕されたが、犯人の1人は刑務所を仮釈放中で足首に電子足枷を付けていた。
エ 12月11日夜、ナタル市カピンマシオ地区の歩道で、女性が乗用車の4人組に襲われ金品を奪われた。犯人らを乗せた車は数時間前に盗まれた乗用車であり、通報を受けた軍警察のパトカーが追跡した。犯人らはパトカーの警察官と撃ち合いながら、同市ロベルトフレイレ通りを逃走、歩道を走行しプライアデジェニパブ街に入り、一方通行を逆走し続けたが、ショッピングセンターのゴミ集積所に激突し、運転席にいた犯人が逮捕され、残り3人は逃走した。
オ 12月28日正午頃、ナタル市ラゴアノーバ地区に所在するテイクアウト専門の飲食店を2人組の拳銃強盗が襲った。犯人らは従業員から携帯電話等の金品を奪い、店先に停めてあった乗用車のキーを強要し、乗用車のオーナーがキーを犯人らへ投げた瞬間に拳銃で2人を撃った。犯人の1人が死亡、もう1人も撃たれ逃走したが直ぐに逮捕された。乗用車のオーナーは軍警察の警察官であった。
カ 12月30日午前、ナタル市ラゴアノーバ地区ビセンテメスキータ街で、郵便車両が民家の前に停車したところ、強盗が乗った車に横付けされ、車両ごと郵便物を強奪された。
(3)パライーバ州
ア 10月14日午後、ジョアンペソア市コリーナドスル地区の自動車修理工場に2人組の強盗が押し入った。犯人らが工場内の全員に床に伏せるよう命じたが、体が不自由なため、従うことが出来なかった男性(60歳)が犯人の1人に右肩を刃物で刺された。犯人らは携帯電話及び現金700レアルを奪って逃走した。
イ 11月24日夜、ジョアンペソア市ベッサ地区で、ネット上の個人間売買サイトで携帯電話を売りに出していた身体障害者の男性が、買い手に携帯電話を手渡すために待ち合わせ場所に乗用車で到着したところ、1組の男女が待ち構えていた。男性が車から降りようとしたところをその男女に鞄、ノートパソコン及び現金を強奪され、車椅子も盗られた。
ウ 12月24日夜、ジョアンペソア市インドゥストゥリア地区の路上で、オートバイに乗ろうとした男性(23歳)が乗用車の3人組に襲われ抵抗したため、拳銃で6発撃たれ病院に搬送された(2発が顔を掠り、背中に2発、腕に2発命中)。
(4)アラゴアス州
10月15日夜、マセイオ大都市圏のマサンゲイラ市で、強盗が女性を人質に民家に立て籠った。人質は警官隊が犯人を説得中に隙を見て脱出、警官隊が民家に踏み込み、銃撃戦となり犯人は死亡した。人質に怪我はなかった。
(5)セルジッペ州
12月23日早朝、アラカジュ市アタライア地区行きの市内バスで強盗事件が発生。
バスの運転手は犯人に直ぐ停車するよう命じられたが、急ブレーキは危険なため拒否したところ、刃物で左手を切られた。犯人は逃走した。
(6)バイア州
ア 10月1日午後、サルバドール市サントアントニオアレンドカルモ地区カルモ街で、3名の観光客が2人組の男に携帯電話を引っ手繰られそうになったが、抵抗したところ、犯人らは何も盗らずに逃走した。
イ 10月8日午前3時頃、サルバドール市カブーラ地区シルベイラマルチン通りで、強盗団が銀行支店のATMを爆破し現金を奪った。事件発生時、人や車両の往来はあったが、犯人らは爆破前に銃を空に向け連射し現場近くから通行人らを追い払った。支店内部は爆風で破壊された。
ウ 11月18日正午頃、サルバドール市ブロッタス地区に所在する病院の従業員食堂に6人組の拳銃強盗が押し入り、昼食に来ていた30名余りを脅し、携帯電話等の金品を強奪した。
エ 12月17日午前2時30分頃、サルバドール市ファゼンダグランジドレチーロ地区に所在する連邦貯蓄銀行支店のATMが、強盗団により爆破され現金が奪われた。支店内部は爆風で破壊された。
4 テロ爆弾事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。5 誘拐・脅迫事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。6 対日感情
対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。7 日本企業の安全に係わる諸問題
管轄内における当該諸問題は発生していない。8 邦人の被害事例
管轄内における被害の発生は確認されていない。以上