海外安全対策情報 令和4年度第4四半期
令和5年4月10日
1 社会・治安情勢
ペルナンブコ州社会保護局の発表によると、ペルナンブコ州において2023年1月から3月の期間に発生した殺人件数は合計873件で、前年同期の962件から89件(9.25%)の減少、州都レシフェ市では138件が発生し、前年同期の136件から2件(1.47%)増加した。また強盗事件は、州全体では12,934件が発生し、前年同期の12,791件から143件(1.11%)の減少、州都レシフェ市では5,304件が発生し、前年同期の4,627件から677件(14.63%)増加した。2022年の終盤に新型コロナウイルス関連の規制が大幅に緩和され、人々の活動が活発になっていく過程において、当初、犯罪発生件数に、規制緩和は大きい影響を与えていない様に見えた。しかし、実際には2023年1月からのデータを前年同期と比較してみると、殺人、強盗事件ともに、事件の発生は都市部に集中して起きていることが顕著に現れた。特に2023年2月以降、強盗事件発生件数は、前年同期と比べ大幅な上昇がみられており、カーニバル期間前後からはブラジルに観光に訪れた邦人旅行客の被害報告も増加しているため、十分な注意が必要である。当地での犯罪の傾向としては、拳銃を使用した事案が非常に多く、時には銃撃戦に発展し、住民や通行人が流れ弾によって死傷するといった事案も発生している。また、当地では容易に現金化が可能なスマートフォンを狙った強盗事件も多発しており、屋外での使用は非常に危険である。また、従来どおり貴金属や高級時計を身につけての外出、多額の現金を持ち歩くなどの行為は非常にリスクが高く、必要以上は持ち歩かない、どうしても必要なときは分散して所持する等の対策は必須である。危険を感じた場合には、その場から早急に立ち去る、人気の少ない場所には近づかないよう心掛け、万が一被害に遭ってしまった場合は絶対に抵抗せず犯人の要求に従うことで、受傷する危険を軽減することができる。観光などで訪れる際には事前に現地の危険情報を確認し、被害の多い地域や場所に関する知識を得ておくことが重要である。渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏は「十分注意してください」を継続しており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」を発出中。
2 レシフェ市における犯罪事例(1月~3月)
(1) 1月11日午後6時頃、レシフェ市ボアビアージェン地区の宝石店で、同店を襲撃しようととした強盗が、警備員に撃たれ軍警に引き渡された。(2) 2月16日午後6時頃、レシフェ市サント・アントーニオ地区カピトン・テムード通りの路上にて、女性が運転していた車両を渋滞のため停止させたところ、4~5人の賊(15歳~16歳位)に襲撃された。犯人の1人が拳銃のような物を女性に向け、他の数人で車を包囲し、スマートフォンと金品を渡すように要求されたため、女性がスマートフォンと指輪を渡すと賊は逃走した。女性に怪我はなかった。
(3) 2月27日夜、レシフェ市の南隣ジャボアタン・ドス・グアララペス市プラゼール地区の電車駅の近くで、路上に駐車した車から出てきた男性(34歳)にオートバイに乗ってきた2人組が拳銃を突き付けたところ、同男性は素早く拳銃で反撃。撃ち合いとなった結果、タンデムシートの犯人が被弾し、2人組はオートバイで逃走した。
(4) 3月16日午前、レシフェ市に寄港中の客船乗船中のアルゼンチン人夫婦が、レシフェ市サント・アントーニオ地区ダス・フローレス街で市内見物をしていたところ、2人組の強盗に暴行を加えられた上に金のネックレス等を奪われた。事件現場は昨年12月に寄港した客船のドイツ人観光客が強盗の被害に遭い死亡した場所の近くであった。
3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(1月~3月)
(1)セアラ州
ア 1月22日午後、フォルタレーザ市ベンフィッカ地区の医院に拳銃を持った女が押し入り、待合室にいた女性職員及び患者2人から金品を強奪、外で待機していた乗用車で逃走した。イ 2月13日夜、フォルタレーザ市グアララペス地区の自動車販売店が、トラックに乗ってきた約20人の強盗団に襲撃された。強盗は販売員を銃で脅し、店内にあった高級車13台を奪って乗り去った。なお、盗まれた13台の内6台の車両にはGPSが装備されていたため、同日中に警察が車両を回収するとともに容疑者8人が逮捕された。
ウ 3月7日午前、フォルタレーザ市のサン・ジョアン・ド・タウアペ地区で、窃盗の疑いのある2人の男が警察の追跡をうけ、まだ授業中の学校付近に逃走した。警官との銃撃戦になった後、1人が撃たれ、2人とも逮捕された。学校関係者に被害はなかった。
(2)リオ・グランデ・ド・ノルテ州
ア 1月12日未明、ナタル大都市圏パルナミリン市で、スマホ送迎アプリの運転手(52歳)が、同市からモンテアレグレ市まで乗客を送っていく途中、その乗客に拳銃で脅されて自動車、携帯電話及び現金を奪われた。イ 2月15日午前9時頃、ナタル市ピチンブ地区ビスコンデ・デ・クルゼイロ街で、男性(58歳)がオートバイに乗った強盗に襲われた。被害者は逃げようとしたところ、後ろから犯人に拳銃で撃たれた。犯人は何も盗らずに逃走、被害者は病院へ運ばれた。
ウ 3月14日から24日にかけての期間、リオ・グランデ・ド・ノルテ州で、犯罪組織が組織幹部の服役している刑務所内での待遇改善を要求し、州内60市の各所において、庁舎等の公共建造物、スーパーマーケット及びバスへの放火、市議事堂外壁へ銃を乱射するなど10日間で合計307件の襲撃事件が発生、ナタル大都市圏では14日、15日及び16日は市バスと通勤電車が運休、学校等は臨時休校、ゴミ回収と各所に設置されたATMへの現金補填等を行う業務が停止するなどの被害が発生した。15日、連邦政府は国家治安部隊100名をナタルに派遣、地元警察との連携により263人を逮捕、24日には事態はほぼ鎮静化した。
(3)パライーバ州
ア 1月10日午前、ジョアン・ペソア市の動物園内で子連れの母親が拳銃を所持した強盗に携帯電話を奪われた。イ 2月15日早朝、ジョアン・ペソア市フンシオナリオ2地区で、自宅前で自家用車を洗車していた男性が、オートバイに乗り拳銃を所持した2人組の強盗に襲われた。犯人の1人が被害者の自宅に侵入し、テレビ、携帯電話、工具類等と被害者の車を奪って逃走した。
ウ 3月17日夕方、ジョアン・ペソア市バラドウロ地区ダレプブリカ街で、オートバイ2台に分乗した4人組が、歩道に集まっていた5人の男性に向けて拳銃を乱射、2人が即死、3人が病院に運ばれた。犯人らは何も盗らずに逃走した。
(4)アラゴアス州
ア 1月24日午前、マセイオ市クルス・ダス・アルマス海岸を散歩していたパラグアイ人旅行者(女性)が、強盗に襲われて格闘となり、抑えつけたところ、左の口元から頬にかけて犯人に噛みつかれた。犯人は被害者の携帯電話を奪って逃走したが、同日警察に逮捕された。被害者は病院で14針縫う怪我を負った。イ 2月22日午後、マセイオ市ポンタ・ベルデ地区の商店に拳銃を所持した強盗が押し入り、買い物客(女性3人)から携帯電話と金品を、女性店主から売上金と乗用車を奪って逃走した。
ウ 3月3日夜、マセイオ市タブレイロ地区で、17歳の少年が強盗に背中を拳銃で撃たれた。犯人は何も盗らずに逃走、被害者は救急車で病院に運ばれた。
(5)セルジッペ州
ア 1月16日午後、アラカジュ市ポント・ノーヴォ地区で、男性が自分の車ごと強盗に連れ去られた。軍警パトカーが同市北隣のノッサ・セニョーラ・ド・ソコーホ市で強盗らを発見、銃撃戦になった後、犯人らは逃走、被害者は車と共に警察に保護された。イ 2月23日夜、スマホ送迎アプリの運転手が乗客に扮した強盗に頭部を刃物で刺されたうえ、携帯電話を奪われた。被害者は救急車で病院に運ばれた。
ウ 3月6日夜、アラカジュ市ラマロン地区パウロ・フィゲレード・バへト通りの軽食店に夫婦が立ち寄ったところ、2人組の男が夫に向けて拳銃を数発撃って逃走した。被害者(26歳)は即死、強盗の前科があった。
(6)バイア州
ア 1月10日未明、サルバドール市カンピナス・デ・ピラジャー地区で、バス会社の社員送迎バスに軽機関銃、拳銃及びスタンガンで武装した4人組が乗り込み、バスに乗っていた20人の社員から、デイパック等の持ち物及び携帯電話を奪い車で逃走した。同日、警察が同市サン・カエタノ地区で犯人の車を発見し撃ち合いとなったが、犯人らは逃走した。イ 2月17日午後、サルバドール市内の長距離バスターミナルで、現金輸送車を狙った強盗事件が発生。犯人の男女1組が警備員に撃たれて病院に運ばれた。
ウ 3月30日午後、サルバドール市セッテ・デ・セテンブロ通りの商店街(同市最大の商店街)で高齢者の買い物客を狙った強盗事件が2件発生した。2件とも被害者は押し倒されて金品を奪われた。
4 テロ爆弾事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。5 誘拐・脅迫事件発生状況
管轄内における当該事件の発生は確認されていない。6 対日感情
対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。7 日本企業の安全に係わる諸問題
管轄内における当該諸問題は発生していない。8 邦人の被害事例
2月17日(金)22時頃、バイア州サルバドール市において、旅行中の邦人がカーニバル会場を歩いていたところ、ウエストポーチのバックルを一瞬で外され持ち去られた。賊はそのまま人混みに紛れ誰が犯人かわからなくなった。被害はウエストポーチに入っていたスマートフォン、現金、パスポートのコピー及びその他小物、邦人に怪我はなかった。以上