海外安全対策情報の更新(令和5年度第3四半期)

令和6年2月1日

1 社会・治安情勢

 ペルナンブコ州社会保護局の発表によると、ペルナンブコ州において2023年に発生した殺人件数は合計3,513件で、前年の3,418件から95件(2.78%)増加し、そのうち州都レシフェ市では576件が発生し、前年の540件から36件(6.67%)増加と、どちらも増加した。一方、強盗事件は、州全体では45,624件が発生し、前年の50,686件から5,062件(9.99%)減少し、そのうち州都レシフェ市では18,457件が発生し、前年の19,065件から608件(3.19%)減少と、どちらも減少した。殺人事件の増加については、60%以上が麻薬密売関連の紛争が動機であり、警察による掃討作戦の増加、取り締まりの強化への反発等が影響していると思われる。反面、警察の活動が活発化したことが影響し、強盗件数は減少した。当地での犯罪の傾向としては、拳銃等凶器を使用した事案が非常に多く、時には銃撃戦に発展し、住民や通行人が流れ弾によって死傷するといった事案も度々発生しているため、万が一銃声が聞こえたらその場から離れる、移動の際には頭を低くして車両や建物の陰に隠れながら行動するなどの自己防衛を心がけたい。また、強盗件数は減少しているとはいっても、依然として治安が改善しているとは言えず、特にスマートフォンを狙った強盗事件は増加している。最近では外国人旅行者の被害報告も増加しているため、屋外でのスマートフォンの使用は非常に危険である。従来どおり貴金属や高級時計を身につけての外出、多額の現金を持ち歩くなどの行為も非常にリスクが高く、必要以上は持ち歩かない、どうしても必要なときは分散して所持する等の対策が必須である。危険を感じた場合には、その場から早急に立ち去る、人気の少ない場所には近づかないことが肝要であり、万が一被害に遭ってしまった場合は絶対に抵抗せず犯人の要求に従う、など心がけることで、受傷する危険を軽減することができる。観光などで訪れる際には事前に現地の危険情報を確認し、被害の多い地域や場所に関する知識を入手しておくことが重要である。
 
 渡航情報(危険情報)※についても、ペルナンブコ州レシフェ大都市圏においては「十分注意してください」が継続して発出されており、生活する上で常に間断無き警戒心が必要である。
※当館管轄州では、他にバイア州サルバドール大都市圏とセアラ州フォルタレーザ大都市圏も同様に「十分注意してください」が発出されている。
 

2 レシフェ市およびその近郊における犯罪事例(10月~12月)

(1)  10月7日午後、レシフェ市テジピオ地区のオタビオデフレイタス病院近くで、拳銃を所持した2人組の強盗が仕事帰りの男性2人を襲った。しかし、この被害男性らは拳銃を所持した刑務官だったため、双方で撃ち合いとなり、その結果犯人らは負傷し逮捕された。なお、この撃ち合いの流れ弾により通行人2人が負傷し、同病院へ運ばれた。

(2)  11月16日午後、レシフェ市サントアントニオ地区のバスターミナルを出発した市内バスに2人組の強盗が乗車、1人が刃物で数人の乗客を脅して携帯電話を奪った。運転手はバスを急停止、犯人らを取り押さえようとしたが右手を刃物で切られた。犯人らは逃走した。ペルナンブコ州治安当局の統計によれば、本年1月から10月まで、同州では507件のバス強盗が発生しており、昨年同時期の454件を11%上回っている。また、本年10月だけで53件が発生した(レシフェ市:33件、レシフェ大都市圏:18件)。

(3) 12月5日午前、レシフェ市ピナ地区にあるマンションビルの前で、家族を迎えに来ていた高級ピックアップトラックが拳銃を所持した3人組の強盗に襲われた。運転手は犯人に脅されボアビアージェン方面に向かわされたが、事態に気づいた被害者の家族が警察に通報。同トラックに装備されていた追跡用GPSの情報からパトカーが追跡し、同トラックは駐車中の乗用車に衝突し停車、犯人らと警官との間で銃の撃ち合いとなったが、犯人は全員逮捕され、被害者は無事に保護された。
 

3 管轄州における殺人・強盗等凶悪犯罪に係わる事例等(10月~12月)

(1)セアラ州

ア 10月9日夕方、フォルタレーザ市バホーゾ地区のガソリンスタンドで、拳銃を所持した2人組の強盗が給油中のオートバイ及びガソリンスタンドの現金等を奪い逃走した。

 11月11日夜、フォルタレーザ市の南隣マラカナウ市カガド地区のライブハウスで、オートバイで乗り付けた2人組みが銃を発砲、入り口に居た男女6人が撃たれ、その内の2人が死亡、他4人は病院へ運ばれた。

ウ 12月27日午前5時30分頃、コンジュントセアラ地区のメトロフォー線の駅舎内で、出勤してきた駅職員が4人組の強盗に襲われた。強盗と同職員は揉みあいとなり、同職員は刃物で胸部を刺され死亡した。
 

(2)リオ・グランデ・ド・ノルテ州

ア 10月13日午後12時30分頃、路上駐車していた乗用車が2人組の男に奪われた。

イ 11月4日夜、ナタル市ラゴアノーバ地区の屋外飲食店で、オートバイ2台で乗り付けた4人組の強盗が店の客を銃で脅して金品を奪おうとしていたところ、オートバイで通りかかった何者かが強盗ら全員を銃で撃った。強盗の内2人は即死、他の2人は負傷し、同地区にあるサッカー競技場近くに隠れていたところを警察に発見され、銃器不法所持の罪で逮捕された。

ウ 12月11日夜、ナタル市カピンマシオ地区ロベルトフレイレ通りのバス停で、数人の乗客がオートバイに乗った2人組の拳銃強盗に携帯電話等を奪われた。被害者達は事件現場を通りかかった警察のパトカーに通報、犯人らは同市内のミラソル団地内で、パトカーの警官と撃ち合いの末死亡した。
 

(3)パライーバ州

ア 10月13日午後3時頃、ジョアンペソア市カーボブランコ地区の野外飲食店で、男性客2人が2人組の男に拳銃で撃たれた。被害者の内1人(24歳)は即死、他の1人(32歳)は救急病院に搬送された。また、同日夜、同地区でパトロール中の警官2人が強盗の一団に襲われ、銃で撃ち合いとなった。犯人の1人は即死、他の1人が重傷、他の者は逃走した。なお、この事件で通行人の女性2人が流れ弾の被害に遭い、1人が即死、もう1人は救急病院に運ばれた。

イ 11月13日午前、ジョアンペソア市ジョゼアメリコ地区の携帯電話専門店が、拳銃を所持した2人組の強盗に襲われた。警察が急行したため、犯人らは店員を人質に立て籠ったが、同日午後に人質を解放し逮捕された。

ウ 12月15日午前、ジョアンペソア市クリストレデントール地区で、オートバイの2人組が送迎アプリの車に発砲、同車を運転していた男性(29歳)が頭部を撃たれ、救急車で病院に運ばれた。
 

(4)アラゴアス州

ア 10月6日午後、マセイオ市セントロ地区ダパス通りにあるスポーツクラブの門前で、近くの軽食店から出てきた男性が強盗に買い物袋を奪われそうになり抵抗したところ、腹部を刃物で刺され死亡した。

イ 11月23日午前5時40分、マセイオ市ジャチウカ地区の路上で通勤中の男性がオートバイの2人組の拳銃強盗に襲われた。犯人らは携帯電話、腕時計、ペンダント、腕輪及び財布を奪った。被害者は犯人らが逃げる際に顔面を撃たれたものの、本物の銃ではなくガス銃のような物であったため命に別状はなかった。

ウ 12月12日午後、マセイオ市タブレイロドマルチンス地区にある州立学校の前庭で、談笑していた生徒数人が拳銃を所持した3人組の強盗に携帯電話等を奪われた。
 

(5)セルジッペ州

ア 10月16日夜、サンクリストバン市(州都アラカジュの西隣)マレシャルロンドン通りでパトカーが盗難車を発見、停車を命じたところ乗っていた犯人らに発砲された。犯人の内2人は車から出て草むらに逃げ込んだが、警官と撃ち合いになり、1人は死亡、他の1人は逃げた。また、そのまま盗難車で逃げた男はパトカーに追跡され、トラックに追突、警官との撃ち合により負傷し病院に運ばれた。

イ 11月21日夜、アラカジュ市シダデノバ地区の歩道で、拳銃を所持した強盗が通行人から携帯電話を奪って逃げた。被害者が「ドロボーだ!捕まえろ!!」と叫んだところ、ウォーキングをしていた男性が振り返って犯人と鉢合わせになってしまった。犯人は男性に発砲したものの幸い弾は外れ、犯人はそのまま逃走した。

 12月21日午後、アラカジュ市で配車アプリの車がアタライア海岸からモスケイロ海岸に乗客を運んだが、到着した途端、乗客は強盗に豹変し、運転手から携帯電話等を奪って逃走した。

(6)バイア州

ア 10月17日夜、サルバドール市オンジイナ地区で、拳銃を所持した3人組の強盗が乗用車を強奪した後、同地区マカパ街でもレストランを襲い、女性客から携帯を奪った。しかし、食事をしていた私服警官と撃ち合いになり、犯人の内2人が病院に運ばれ、他の1人は出血したまま逃げた。なお、携帯を奪われた女性は流れ弾で臀部を負傷し病院で手当てを受けた。

イ 11月2日正午前、サルバドール市内のジャグアリベ海岸の砂浜で、拳銃を所持した2人組の強盗が海水浴客4人から携帯等の金品を奪い、乗ってきたオートバイで逃走した。

ウ 12月18日夜、サルバドール市パリペ地区の歩道で、男性(41歳)が2人組の強盗に襲われ、逃げようとしたところ拳銃で殺害された。
 

4 テロ爆弾事件発生状況

管轄内における当該事件の発生は確認されていない。

5 誘拐・脅迫事件発生状況

管轄内における当該事件の発生は確認されていない。

6 対日感情

対日感情は良好であり、特段の変化は見られない。

7 日本企業の安全に係わる諸問題

管轄内における当該諸問題は発生していない。

8 邦人の被害事例

 バイア州イツベラ市のプラチギ海岸で、2023年12月27日から8日間の日程で開催されていた音楽イベント会場において、テント泊で参加していた女性が30日の朝に目覚めると、カメラやスマートフォンの入ったバッグが盗まれていることに気づいた。同女性はそのまま宿泊を継続し、最終日にはテントを離れている間に、テントごと他の荷物も盗まれた。
 
以上